裁判員〜決めるのはあなた
横濱たより124号
 
2003.6.25発行

日本弁護士連合会製作のビデオドラマ
 2003年6月22日(日)に福井県民会館で開かれたビデオドラマ「裁判員〜決めるのはあなた」(90分)を見てきた。(入場無料)
 このドラマは、日本弁護士連合会http://www.nichibenren.or.jpが約4000万円の費用を投じて、製作し全国各地で上映しているものだ。福井弁護士会では、福井市と敦賀市(6月29日)で上映会イベントを企画・運営している。
  裁判員制度は、選挙人名簿から無作為で選ばれた裁判員(一般市民)が、裁判官とともに刑事裁判に関与して、被告人が有罪か無罪かを判断し、有罪と判断した場合には刑を決める制度で2004年の通常国会に法案を提出するための議論が行われている真っ最中。何歳以上の人を何人集めるかなど決まっていない点は多いが、市民に積極的に裁判に参加して貰い、民主主義の実現の為に弁護士会はがんばっている。
 ドラマのストーリーは、 年老いた姑が自宅近くの公園で石段から転落して死亡した。そこには、痴呆症にかかった姑の介護に疲れた嫁の姿が。嫁がつき落とした殺人事件なのか、それとも単なる転落事故なのか。殺人の動機は、目撃者の証言は?裁判官と裁判員が意見を戦わせながら評決を出すといったものだ。
 ドラマの中では裁判官ひとりに対して裁判員8名に設定したり、自白の信憑性を客観的に見るために取調室へのビデオカメラの導入を提案したり、女子大生の若い裁判員を参加させたりと日弁連の意向が上手にちりばめられた良くできたシナリオだ。
 上映後の質疑応答では、少年時代に「12人の怒れる男」を見て感動したという教員の参加者から民主主義のベースとなる議論の方法を指導するビデオの制作は出来ないかとの提案があり、福井弁護士会からはすでに法教育授業のプログラムを用意しているとの回答だった。裁判員になる資格を高学歴や年齢に求める意見も出されたが、アメリカの陪審制度では学識経験者でも一般市民でも有罪か無罪かを決める能力には違いが無いといわれていることも紹介され、会場からは拍手も湧いていた。
 また、冤罪事件を減らす為にも一般市民の体験に基づいた運用の提案や選ばれた裁判員の保護の強化などの意見も出された。カルト集団の起こした事件に対してどのように関係者を裁判員からはずすのかとの質問には忌避制度が正しく機能させるようにするとの回答だった。

気になるタバコ問題の取り扱い姿勢
 鑑賞中に気になったのは評議室に大きなガラス製の灰皿が出されていることだった。裁判員のひとりがたばこ使用を開始し、それに異を唱える一幕が有るのだが、外の喫煙所で片寄せ合ってたばこ使用する際に「私らには住み難い世の中になりましたね。ちょっとタバコでも吸おうものならまるで犯罪者扱いですからね」との科白を吐かせていた。
 緻密に練り上げられたシナリオだけに、この一幕には人権意識(スモーク・ハラスメント対策の重要性)に対する大いなる欠如を感じ、書面で抗議しておいた。
 福井弁護士会http://www.h2.dion.ne.jp/~fukuiben/では受付付近のフロアにはきちんと「禁煙席」の案内を出し、反対側に「喫煙席」を設けていただけになおさら残念に感じた。
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