EZ A Me Ca by Mike Yokohama

第一章　渡米準備

その１　アメリカを見たい

　アメリカ！

　この力強い響きはなんと心地よいのだろうか。アメリカは私達日本人にとって特別な意味を持つ国だ。
　1776年に建国された新興国は確実に力を付け、江戸時代末期には日本沿岸に黒船に乗ってやって来た。”神国・日本”は1945年に無条件降伏させられた。次いでダグラス・マッカーサー元帥が黒のレイバン・サングラスを掛け、コーンパイプをくゆらしながら悠然と厚木基地に降り立った。
　彼らこそが、われわれ日本人にとって元祖アメリカ人なのかもしれない。
　遣唐使の時代とは比べものにならないスピードで外国文化がなだれ込んできた。民主主義・合理主義・個人主義そして圧倒的物資文明。外国イコール、アメリカだ。
　英語教育は、アメリカ式に取って変わり、瑞穂（みずほ）の国にパン食が普及し始めた。アメリカがくしゃみをすると、日本はかぜをひくといわれ、弱い日本円を保護するため1ドル＝360円＝の固定相場制が長い間続いた。

　1980年代に入り自動車生産台数世界一がアメリカから日本に移り、円高ドル安が進行した。それでもアメリカの影響力は絶大だ。特に、音楽・映画・スポーツはほとんどアメリカ直輸入である。海外ニュースの80％はアメリカからと言っても過言ではないだろう。

　映画「イージー・ライダー」（主演ピーター・フォンダ、共演ジャック・ニコルソン、監督デニス・ホッパー、1969年制作）を鑑賞したことがあるだろうか。広大な土地を自由に走るアメリカン・ムービーだ。アメリカ大陸はすべてのライダーのあこがれと言える。
　私は大学４年生の冬に浅草の名画座でこの映画を見た。本当のアメリカはどんなものなんだろうと行ってみたくなった。

　３年働いて１万ドル貯めたらアメリカへ行く。

と手帳に書いた。
　若い人は知らないかもしれないが、アメリカは1969年に人類を月に立たせ、無事地球に帰還させている。日本ではウサギがもちつきをしているといわれた月である。私も子供心にアポロが月面着陸したテレビ中継をすごいと思ってみた記憶がある。
　アメリカ程偉大な国がこの世にあるだろうか。

　近年、国際化社会が叫ばれ、海外旅行がブームを呼んでいる。全く幸せな時代がきた。チャンスがある人はどんどん海外へ出かけるべきだ。特に、若い人は貧乏旅行をしながら見聞を広げると良い。

　お金が無い、時間が無い、言葉が分からないなどとしり込みしてはいけない。戦後半世紀、ようやく私達の時代がやってきた。アルバイトでも結構稼げる上に円は強い。若者なら1年くらいダブってもいいじゃないか。中学生から英語を習っているのは伊達（だて）じゃない。

　誰だって世界に飛び出せる。今すぐにとはいかなくても計画を立て、事を運べばＯＫ。
　旅行準備というものは忙しいものであり、楽しい浮き浮きしたものである。ただ、モーターサイクルひとり旅となると情報不足気味だ。あるガイドブックに大陸横断した学生の手記が掲載されていたが、たいして役に立ちはしない。プロのライダー達は強力なスポンサー付きなので話にならない。
　渡米以前には海外旅行はおろか、国内線の飛行機にも乗ったことがなかった。成田空港さえ行ったことがなかった。それでもできるだけ自分自身の手で準備を進めることにした。もともと、他人任せにすることは好きでなかったし、今回の旅を自らの手で創造したかった。旅行代理店に頼り過ぎるべきではない。
　とは言っても全くの個人が初めて太平洋を渡り、モーターサイクルで旅をするためには、どのように準備をすれば良いのだろうか。

　マイク・ヨコハマ
1962年9月17日生まれ
大学入学直後から、原動機付き自転車（50cc）に乗り始め、20歳の時、自動二輪免許（中型）を取得、スズキの400ccに乗り始める。社会人になってから、限定解除（通称ナナハン免許）を取得。ホンダVF750に乗る。３年弱のサラリーマン生活にピリオドを打ち、１年間の全米モーターサイクルひとり旅に出る。ホンダシャドー100で65,000kmを走破。50州すべてに足を踏み入れる（但し、ハワイ州のみ飛行機）
帰国後、商業写真家となり、現在（2001.7）は、IT・マルチメディアディレクターを名乗っている。

EZア・メ・カ
1-1　アメリカを見たい
撮影・著作　マイク・ヨコハマ
www.mike.co.jp info@mike.co.jp

2001.7.29 UP DATE